今回は、hay と estar の使い分けについて学びます。
「estar の活用と使い方」でも学んだように、estar は、「人や物の所在を表す場合」に使われます。
その女の子は家にいます。
また、「hay の使い方:人や物の存在を示す hay と義務「…しなければならない」の hay」でも学んだように、hay も「人や物が存在することを表現する」ために使われます。
調理場には大勢の料理人がいます。
estar も hay も、日本語では「あります」「います」のように訳されますが、どのように使い分ければよいのでしょうか。
ポイントは、「hay には主語がない」ということです。つまり、具体的もしくは特定されている物や人の所在を表すために estar が使われ、不特定の物や人の所在を表すのに hay が使われる感じです。
基本的に、estar が使われるのは、固有名詞であったり、主語人称代名詞であったり、指示形容詞や所有形容詞がついた名詞であったり、定冠詞がついている名詞であるなど、何について話しているのかもしくは誰について話しているのかはすでに明確で、その物や人がどこにあるのかもしくはいるのかに焦点が当てられます。
これに対し、hay が使われるのは、無冠詞の名詞であったり、不定冠詞がついた名詞であったり、数・数量などとともに表現された名詞であるなど、「そこに何があるのか」や「そこにどんな人がいるのか」ということを表現します。
どちらかというと、意識として「場所」が先にあり、そこに存在する物や人に焦点が当てられます。聞き手の方がそこに何があるのかを知らない状況が考えられます。
上記(1)の例文では、話し手と聞き手の間で niña について共通の認識があり、その niña がどこにいるのかが焦点となっています。
これに対し、上記(2)の例文では、cocineros について話し手と聞き手の間で共通の認識がありません。「大勢の料理人」の存在は、聞き手にとって新しい情報であるわけです。