「can の否定は、cannot?それとも can not?」
英語学習者が一度は疑問に思うこのテーマ。
cannot と can not、どちらが正しいのでしょうか。
本記事では、英語の助動詞 can の否定形として、cannot と can not のどちらを使うべきか、そしてその意味の違いや使い分けのポイントを、例文付きでわかりやすく解説します。
ネイティブ英語教師からの指摘
かくいう私も、昔海外で暮らしていたときに、cannot と can not の使い分けについて少し混乱した覚えがあります。
日本で住んでいたころ、中学生時代の英語の授業で、確か can の否定形は can not が普通で、時々 cannot と書くこともある、という風に学んだという記憶がありました。
もちろん、私が間違って記憶していた可能性も否めませんし、現在学校でどのように教えられているのかも知りません。
しばらくして、私は海外で暮らすようになり、現地の学校に行くことになりました。そして、当初は can の否定形として can not と書いていたはずです。
ところが、そんな中、当時、親が私のために雇ってくれていた英語ネイティブの家庭教師にこう指摘されたのです。
「can の否定としては can not ではなく cannot を使うべきだ」
さて、ここで私の中に疑問が生じました。
「cannot」と「can not」の違いは何なのか? どちらを使えばいいのか?
実は、両方とも文法的には正しいのです。
「can」の基本と否定形の疑問
「can」は「~できる」「~してもよい」といった意味の助動詞で、英語学習の初期段階から登場します。とても使用頻度が高く、日常会話からビジネス英語、試験英語にまで幅広く使われます。
しかし、その「can」の否定形については、意外とあやふやになりがちです。
結論:基本的には「cannot」を使おう
助動詞「can」の否定を表すときには、**cannot(1語)**が標準的かつ推奨される形です。
- cannot:助動詞 can と否定の not が結合した公式な否定形。
- can not:文法的には可能だが、場合によっては異なる意味に取られることもある。
ここではタバコを吸ってはいけません。
cannot を使えば、「can の否定(~してはいけない/~できない)」という意味が明確に伝わります。
「can not」も間違いではない?意味が変わる可能性も
「can not」も文法的には間違いではありません。
ただし、can と not が分かれていることによって、以下のような意味の違いが生じることがあります。
君はその映画を見に行かないこともできる。
これは、「君は映画に行かないという選択もできる」といった選択肢の提示に読めてしまいます。
一方、同じ日本語を表すつもりで以下のように書いた場合は:
君はその映画を見に行ってはいけない。
こちらは明確な禁止や不可能を意味しています。
つまり:
- cannot → 「できない」「してはいけない」(通常はこちら)
- can not → 「しないという選択肢もある」(意味が曖昧になる)
このように、文の意図を誤解される可能性があるため、通常は cannot を使うのが無難なのです。
なお、ここで気をつけて欲しいのが、「can not」が必ず選択肢の提示になるわけではない ということです。
上述の通り、can not =選択肢を提示する意味になることがありますが、文脈によっては通常の否定と同じ意味でも使われます。
例えば:
やりたくなければ、ここではやらなくてもいいよ。
このように、「can not」は時に柔らかな断りや許容のニュアンスにもなり得ます。
いずれにしろ、can not は、not を強調したり、あえて意味を分離したいときに使われますが、意味が曖昧になるため、通常は cannot を使う方が安全です。
では、can not を使うのはどんなとき?
例外的に、not を強調したいときには「can not」のように分けて書くこともあります。
特に、感情的に「絶対にダメ!」と伝えたい場面では、視覚的にも「not」を際立たせる効果があります。
だめ。宿題を終えるまで、映画を見に行ったら絶対だめだ。
このように書くと、「not」の強さが目に飛び込んできて、強い否定・命令口調としての印象が残ります。
cannot と can not のまとめ(比較表)
表現 | 意味・使い方 | おすすめ度 |
---|---|---|
cannot | 一般的な否定。「~できない」「してはいけない」 | ◎(推奨) |
can not | 強調や選択肢の表現。「~しないこともできる」 | △(誤解される恐れあり) |
よくある誤解:学校で「can not」が正しいと習った?
一部の学校や教材では、「can not」を用いる説明をしていることもあります。特に、助動詞+not の構造を文法的に説明する際に「分けて書く」と教えられることもあるでしょう。
しかし、実際の英語圏では「cannot」が圧倒的に一般的。
ニュース記事・論文・ビジネスメールなど、あらゆる場面で「cannot」が主流です。
また、一部の文書編集ツールでは、文脈によって「can not」を入力するとスペルチェックで修正されることもあるほど、「cannot」は標準と見なされています。
まとめ
- 「cannot」が基本形で正解!
- 「can not」も文法的には可能だが、意味が分かれて解釈される恐れがある
- not を強調したい場合は「can NOT」などと書くのはOK
- 文章の明確性・一貫性を保つためにも、迷ったら「cannot」一択が安全!
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